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漫画『マルドゥック・スクランブル』全7巻を一気読みした感想

漫画『マルドゥック・スクランブル』は少女娼婦バロット・ネズミ型万能兵器ウフコック・委任事件担当捜査官イースターと、オクトーバー社の汚れ仕事を引き受けるシェル・ボイルドの戦いを描く小説の漫画版。

面白かった。

 

主人公と相棒の出会い、主人公の変化から葛藤、成長を経て最高潮へ・・・といった感じで緩みもなく好ましい作品だった。

 

特に終盤のカジノは良かった。幕引き一歩手前の場面だけど、俺にとってはカジノの場面が最高潮だった。最初の頃は未熟と精神崩壊を併せ持つ危険な存在だった主人公の成長、そこから出た言葉、魅力的な登場人物達、場の緊張感、最終決戦を予感させる流れ、良いところが沢山あった。そりゃもう驚くくらい興奮したね。小説も劇場版も見たことないけど、あの場面は小説でも劇場版でも最高潮に違いない。

 

世界観や登場人物も全体的に良かった。SFらしい技術や能力は素敵の一言。それらを違和感なく楽しめて、妙な納得感まで付いてくるんだから良いもんだ。登場人物も魅力的で記憶に残りやすい。

 

ただ、明確な敵として主人公に襲いかかった連中は少し違ったかな。全体的に魅力不足で物足りなかった。彼等は落ち着いて考えたら魅力的な敵なんだけど、読んでいるときに魅力を感じたのはボイルドくらいで、変態で悪党なボス達すら微妙な位置で、他の人物は薄っぺらいものだった。最終的に『彼等も人間だったんだな』程度の印象を持って終わった。

 

設定は魅力的なものだったし、原作の問題ではないと思う。絵を担当した人は『マルドゥック・スクランブル』がデビュー作で、連載が続くにつれて成長したと言われているくらいだから、単純にデビュー作ゆえの能力不足から魅力を表現しきれなかったのかもしれない。思い出してみれば、その魅力を感じられそうなコマ、表現しようとしているようなコマは存在してる。だから、もっと上手く描写してくれていたら最高に魅力を感じたかもしれない。俺にそのコマから彼等の魅力を感じ取る能力が無かった可能性も大いにある。何にせよ残念な部分だった。 俺は敵も魅力的なキャラクターであってほしいんだ・・・。

 

最後に主人公について書いておこうと思う。漫画版は絵柄が柔らかめで女性は可愛らしく、主人公は少女って印象が強かったんだけど、このへんは原作を読んだ人からすると違和感があって、本当に小説と同一人物なのか疑いたくなる部分らしい。俺も原作の絵と劇場版の絵を見た後だと、漫画版は可愛らしく描かれてるんだなって思ったし、十分に理解できる話ではある。でもまあ、俺は原作を知らないまま読んだし、可愛い存在は素直に好ましいと思う単純な人間だから違和感なく楽しむことができた。もし漫画版から入るのなら問題はないだろう。