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思う存分に完結済みの漫画を読んで自由に感想を投稿するブログ。

漫画『寄生獣』全10巻(完全版は全8巻)を一気読みした感想

漫画『寄生獣』は謎の寄生生物と共生することになった主人公を描くSF漫画。

面白かった。名作は伊達じゃない。読みごたえ十二分。

 

寄生生物が主人公に脳に寄生しようとして失敗して右腕に寄生、しょうがないから共生開始、右腕に寄生したから『ミギー』と安易な名前をつけたり、身を守るために共に戦ったりしつつ、主人公に寄生した寄生生物ミギーは寄生生物として、主人公は人間として成長していく。う~ん実に良かった。

 

他の寄生生物も惹かれる言動を選択することが多くて楽しませてくれた。生存本能に従っていたり、好戦的で肉体の性能を確かめていたり、単純に主人公を敵だと認識して襲ってきたり、知性的でいち早く人間社会に溶けこもうとしたり、好奇心から子供を育ててみたり、本当に気になることばかりする。産休って言葉を平然と出してきた時は笑うしかなかった。

 

主人公の右腕に寄生したミギーは寄生生物の中でも特に魅力的。奴は主人公の近くに存在しながら最後まで寄生生物らしさを失わなかった点が凄く良かった。生まれて、本能に従って寄生を始め、近くにいた主人公に寄生し、共に過ごす中で人間を知り、最終的に主人公と良き友になったけど、それでも奴は最初から最後まで寄生生物らしくて、凄く魅力的な存在だった。出てくる言葉も良いんだ・・・。恐ろしくも実に愛らしい隣人だと思う。現実で遭遇したら?そりゃ命を諦めるよ。

 

主人公も人間らしくて良い。突然寄生されて、人間らしい悩みを抱いて、気づいたら事件に巻きこまれて、否応無しに寄生が進んで寄生生物の価値観が入りこんできて、変化してしまったことに無自覚だったけど「鉄でできてるんじゃないのか」「人間じゃない」「誰だ?おまえ・・・」等の言葉の数々で寄生生物の価値観が入りこんできた事を自覚してからは葛藤の連続で・・・。それから色々なことを経験して1匹の人間に成長したんだけど、人間と寄生生物の境界で揺れる姿は凄く惹かれるモノだった。

 

哲学的なテーマや人間社会の動きも面白かった。

 

哲学的なテーマに関しては少し考えさせられた。でもまあ、俺は考えても”興味ねえ”に行きついちゃう人間だから”面白いこと言うね”で終わっちゃうんだけれども。

 

人間社会の動きは実にそれっぽくて良かった。ちょっとした事件から寄生生物の存在を疑うようになって、民間では噂話から新しい妖怪扱いで玩具にする。事件から実態を把握していた政府関係者は『寄生生物は頭に寄生してて、髪の毛を抜くことで寄生生物であるか確認できる』と噂を流して確認方法を一般市民に流行らせる。本当に寄生生物が現れたら、こんなことになりそうな気はするよね。

 

主題・世界観・雰囲気を大切にしているのか、流れが自然で生々しい場面や言葉を違和感なく楽しめる点も良かった。良いSFは現実感があるから凄い。土台になる設定がしっかりしてるのかな。こういう作品は何度読んでも楽しめそう。